特集 今そこにある、ファミリー・バイオレンス|Violence and Health
【総論】
ファミリー・バイオレンスの臨床社会学—「家族システム」に暴力を発生させる「社会的要因」「文化」への視点を
井上 眞理子
1
1奈良学園大学 ビジネス学部 社会学・社会病理学
キーワード:
不作為の暴力
,
家族システム
,
ポジティブ・フィードバック・メカニズム
,
ストレッサーへの2段階適応モデル
,
規範同調的暴力
Keyword:
不作為の暴力
,
家族システム
,
ポジティブ・フィードバック・メカニズム
,
ストレッサーへの2段階適応モデル
,
規範同調的暴力
pp.1474-1478
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201200
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Case
2014年2月上旬から中旬にかけて、生後0カ月の男児が父親から暴行を受け重症となった事件。父親は逮捕・起訴され、2015年3月大阪地方裁判所で実刑判決を受けた。
夫婦は他市から転入してきたが、若年夫婦で経済的問題もあり、そのため市保健センターが支援を申出。2014年1月男児を出産したが、出産医療機関が不安を感じて市保健センターへ家庭訪問を依頼。2月12日家庭訪問の際、男児の顔に傷を発見するも、児童相談所に通告せず。家庭訪問の3日後、男児が心肺停止状態で救急医療機関を受診。翌日転院し、「低酸素脳症」「慢性硬膜下血腫」と診断された。
現在では「父親の育児参加」についての広報・啓発が各自治体で盛んであるが、価値観のみ先行している傾向がみられる。若年の父親には「乳児とはどのようなものか、どのように扱うか」の知識がなく、出産後退院時などにすべての父親に対して研修が必要ではないか。
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