特集 The 初診外来
【忘れられない初診】
上から下から
中西 重清
1
1中西内科
キーワード:
消化管出血
,
大動脈腸管瘻(AEF)
,
十二指腸穿破
,
腹部大動脈瘤術後
Keyword:
消化管出血
,
大動脈腸管瘻(AEF)
,
十二指腸穿破
,
腹部大動脈瘤術後
pp.681-682
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200613
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Case
電話対応で診断した吐下血の一例
患者:81歳,男性.普段は元気.
初診時の主訴:妻から突然電話があり,「上から下から血が出て止まらない.何度も出血する」とのこと.
既往歴:65歳時に,総合病院心臓血管外科で腹部大動脈瘤(abdominal aortic areurysm : AAA)手術(最大径6cm).瘤部に人工血管置換術.腹痛でCT検査時に偶然発見.67歳時に,総合病院循環器内科で狭心症と診断,当院に逆紹介され通院開始.74歳時に,胃潰瘍でランソプラゾール15mg投与開始.現在81歳,元気に通院中.
処方薬:ランソプラゾール15mg,チクロピジン100mg,トリメブチン300mg,ブロチゾラム0.25mg.
現病歴:学会参加のため移動中に,妻から突然の電話で「上から下から真っ赤な血が出ています」と連絡あり.電話対応なので診察なし.
初期診断:消化管疾患による出血(吐下血)と推論し,総合病院救急を受診するよう指示し,電話紹介した.
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その後の経過:救急受診した総合病院にて即日入院となり,緊急内視鏡を行うも上部消化管に出血部位はなし.その後も3日間,3度の上部消化管内視鏡検査を行ったが,出血源は不明.
入院3日後に出血性ショック(意識障害と血圧低下)をきたし,気管内挿管と輸血を行いながらCT検査を行う.AAA術後仮性動脈瘤の腸管穿破(十二指腸穿破)と診断.心臓血管外科で緊急手術(人工血管置換術),AAA術後の中枢側に仮性瘤を認め,十二指腸水平脚と接した部位に穿破.術後5日目に死亡.
最終診断:大動脈腸管瘻(AAA術後仮性瘤の十二指腸穿破).
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