特集 The 初診外来
【忘れられない初診】
かったるい青年の背後に隠れていた精神病症状
宮崎 仁
1
1宮崎医院
キーワード:
精神病症状
,
統合失調症
,
心因性発熱
,
早期精神病
,
精神病未治療期間
Keyword:
精神病症状
,
統合失調症
,
心因性発熱
,
早期精神病
,
精神病未治療期間
pp.683-686
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200614
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Case
「かぜ」だと思って内科を受診した青年が実は……
患者:21歳,男性.大学生.
現病歴:1週間前から37℃台の微熱,倦怠感,四肢の軽い痛みが続くために受診した.初診の問診票には「かぜだと思う」という記載あり.体温は37.2℃であったが,身体所見は異常がないため,アセトアミノフェンの頓用のみで経過観察とした.
5日後に再診となり,「だるくて,体が押しつぶされそうな感じがしてつらい.就職活動に集中することができない」と訴えた.精神医学的評価を行ったところ,入眠障害,食欲低下,興味関心の低下,集中力低下,自責感が認められた.
初期診断:「大うつ病性エピソード」と診断し,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitors : SSRI)による治療を開始した.
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その後の経過:治療後は,精神症状・身体症状ともにいったん改善したが,初診から4カ月後に再び入眠障害・起床困難となり,大学のゼミにも行けなくなった.そこで,再度精神医学的評価を行ったところ,「今まで気づかなかったことがわかるようになってきた.自分の考えていることが,頭の中で声のように聞こえてくる.真っ暗な中にいると落ち着く」という訴えがあった.
最終診断:考想化声および妄想知覚を疑い,精神科医へ紹介したところ,「統合失調症(または統合失調感情障害)」と診断された.
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