特集 フィジカル改革宣言! ──診断からフォローアップまで
【疾患別極意!コモンの診断・フォローアップはどうしているか?】
—胆囊炎—胆囊炎はフィジカルまでで勝負する
志水 太郎
1
1東京城東病院 総合内科
キーワード:
胆囊炎
,
胆管炎
,
病歴
,
身体診察
Keyword:
胆囊炎
,
胆管炎
,
病歴
,
身体診察
pp.145-147
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200466
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Case
急性胆囊炎の一例
患者:57歳,女性.主婦.
現病歴:3日前から熱っぽく,上腹部の不快感を自覚していた.2日前から嘔気も出てきたが,吐くほどではなかった.昨日から熱が高くなり,腹部の違和感と嘔気に加えて,食物残渣を伴う嘔吐も2回出現したため,本日ややぐったりした面持ちで,夫に付き添われて外来を独歩受診.本人に熱感はあるが,戦慄はなし.吐物に血液は混じらず,下痢もなかった.上腹部の違和感の位置を訊くと,やや右を手掌を当てて示した.
バイタルサインは,呼吸数20回/分,体温38.2℃,血圧147/85mmHg,脈拍数96回/分・整.腹部診察上,外観は平坦で,膨満・膨隆,手術痕や外傷,出血や皮疹もなし.腸音は低下していた.肝腫大はなかったが,肝腫大を診る時の打診で軽度鈍痛が増強するとのことで,軽い触診で右季肋下に圧痛があった.Murphy徴候は陽性.咳誘発を含む明らかな腹膜刺激兆候はなかった.
ベッドサイドの超音波で圧痛点に一致して胆囊あり,sonographic Murphy徴候は陽性.胆囊の壁は腫大,血流は良好で胆囊径は10cm×5cmでやや腫大,内部に胆泥らしいやや高エコーの像が見えた.明らかな石を示唆するような所見はなかった.胆管の拡張・腹水貯留ともなし.以上より「急性胆囊炎」を疑い,入院加療となった.
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