特集 診断ピットフォール10選─こんな疾患,見逃していませんか?
ONE MORE GM
pp.863-864
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200339
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Q 心筋炎を疑った時に,ジェネラリストはどのように考えたらよいでしょうか?
A 循環器科コンサルテーションが必須です.劇症化し,心肺補助が必要になる可能性があることなどがその理由です.非特異的な全身症状を呈することがしばしばあり,ジェネラル部門が初診となる可能性があります.
心不全徴候と胸痛,不整脈が診断の手がかりになります.心筋逸脱酵素の上昇,心電図で経時的に変化するST-T異常や伝導障害,心エコー検査で心膜液貯留,壁肥厚を伴う壁運動低下などが,診断の決め手になります.
臨床像に応じて,心筋生検を施行し,診断の確定と組織型の分類をします.
組織型は,リンパ球性心筋炎が最多です.その多くが一過性の経過をとり,対症療法が中心となります.しかし,組織像が全身疾患に伴う心筋炎などの診断につながり,特異的な治療介入の手がかりになる場合があります.
具体的に心筋生検が必要な状況として,❶急性の経過で血行動態が破綻する場合,❷亜急性から慢性の経過で心室性不整脈,2度以上の房室ブロックを伴うか,心不全治療に反応しない場合,❸原因不明の拘束性心筋障害を呈する場合,❹好酸球増多や,膠原病,腫瘍の存在など全身疾患を背景としていると思われる場合,などが挙げられています.
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