特集 関節が痛いんです!─コモンからレアものまでの診断と治療
【関節痛で疑うコモンな疾患】
変形性関節症(OA)
田口 雄一郎
1
1湘南鎌倉総合病院総合内科
pp.338-340
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200179
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Case
患者:70歳,男性.
主訴と現病歴:5年前頃より左第3指PIP(近位指節間)関節の変形と疼痛を自覚していた.徐々に両側各DIP(遠位指節間)関節の変形と左第3指PIP関節の関節痛が増悪してきたために受診.関節痛は安静により改善し,運動時に増悪する.
身体所見:両側各DIP関節の軽度変形を認め,また,左第3指PIP関節に骨性の腫大を認めるが,明らかな滑膜増殖は認めない.血清学的にはRFおよび抗CCP抗体は陰性で,CRP・ESRなどの炎症反応は陰性であった.
単純X線所見:両側各DIP関節および左第3・第5指PIP関節に関節裂隙の狭小化,関節面の石灰化,骨棘形成を認めた(図1).関節リウマチ(RA)を示唆する骨びらんは認めず,また,尋常性乾癬などを示唆する皮疹は認めなかった.
診断と経過:以上の身体所見および検査所見より,変形性関節症(OA : osteoarthritis)と診断し(除外するべきRAおよび乾癬性関節炎は否定的であった),局所の安静などの生活指導に加え,疼痛時のNSAIDs投与にて日常生活には大きな障害なく,経過中に関節炎や骨びらんの発症は認めていない.
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