書評
消化器内視鏡リスクマネージメント
金子 榮藏
1
1浜松医大・内科学
pp.455
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100080
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すばらしい本が出た.消化器内視鏡の分野で長年指導的活躍をされてきた小越和栄先生による『消化器内視鏡リスクマネージメント』である.著者はERCPの開発者の一人であり,日本消化器内視鏡学会の各種検査やリスクマネージメントのガイドライン作成において中心的役割を果たし,さらに学会が5年ごとに行っている偶発症全国調査の委員でもあった.
全国集計のデータにみるように,内視鏡の分野は常に事故の危険をはらんでいる.高齢化社会になり,かつ消化器内視鏡の目的が,診断から治療へと大きくシフトしつつある昨今,偶発症の危険は今後さらに大きくなる恐れがある.そのような背景があって消化器内視鏡学会が作成してきた,安全に内視鏡検査を行うためのガイドラインも「消毒法ガイドライン」に始まり,最近の「抗凝固剤,抗血小板薬使用に関する指針」までの6つで一応の区切りをみた.この時期にこれらすべてのガイドライン作成にかかわり,その多くで委員長を務められた著者が,ガイドラインをより深く理解し,より良い利用法を目指して本書を著したのは極めて大きな意義を持つものである.
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