Japanese
English
特集 いま,胆道鏡検査 PTCS・POCSを見直す
胆管癌に対する胆道鏡診断の意義と限界:POCS
Significance and limitation in the diagnosis with peroral cholangioscopy for cholangiocellular carcinoma
河上 洋
1
,
桒谷 将城
1
,
大和 弘明
1
,
品田 恵佐
1
,
江藤 和範
1
,
羽場 真
1
,
中西 喜嗣
2
,
近藤 哲
2
,
浅香 正博
1
Hiroshi KAWAKAMI
1
,
Masaki KUWATANI
1
,
Hiroaki YAMATO
1
,
Keisuke SHINADA
1
,
Kazunori ETOH
1
,
Shin HABA
1
,
Yoshitsugu NAKANISHI
2
,
Satoshi KONDO
2
,
Masahiro ASAKA
1
1北海道大学大学院医学研究科消化器内科学
2北海道大学大学院医学研究科腫瘍外科学
1Department of Gastroenterology, Hokkaido University Graduate School of Medicine, Sapporo
2Department of Surgical oncology, Hokkaido University Graduate School of Medicine, Sapporo
キーワード:
胆管癌
,
経口胆道鏡(POCS)
,
進展範囲診断
,
水平方向進展
,
粘膜表層拡大進展
Keyword:
胆管癌
,
経口胆道鏡(POCS)
,
進展範囲診断
,
水平方向進展
,
粘膜表層拡大進展
pp.393-397
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100071
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要 旨
胆管癌の治癒する唯一の方法は外科的切除であり,局所進展度・範囲の正確な診断,およびそれに基づいた適切な手術術式の選択が重要となる.進展範囲診断のなかでも,胆管粘膜表層拡大進展の診断は重要である.結節膨張型や乳頭膨張型を呈する限局型胆管癌では胆管粘膜表層拡大進展が1/3程度の症例にみられ,胆道鏡による観察が必要となる.本稿では,胆管癌に対する経口胆道鏡検査(peroral cholangioscopy:POCS)の胆管粘膜表層拡大進展の診断における意義と限界について述べた.
当科では,2008年2月までに胆管粘膜表層拡大進展の可能性がある限局型胆管癌38例に対してPOCSを施行した.腫瘍による高度狭窄を通過できたのは33例であり,このうち胆管粘膜表層拡大進展の有無についての存在診断は全例で可能であった.範囲診断は67%で可能であった.表層拡大進展は不整な小顆粒状粘膜やイクラ状粘膜として観察された.POCSで胆管粘膜表層拡大進展の範囲診断が困難であった例は切除標本肉眼所見においても異常の指摘が困難であり,病理組織学的には1層の平坦な癌上皮から成っていた.
POCSの高画質画像によって胆管粘膜表層拡大進展の診断が可能である一方,約30%の症例では1層の平坦な癌上皮のため範囲診断が不可能であった.現時点では,粘膜表層拡大進展を呈する限局型胆管癌は診断の限界をふまえたうえでの治療方針の決定が必要である.今後さらなる機器の改良・開発が望まれる.
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