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特集 肝脂肪沈着の病態と画像
序説・肝脂肪沈着―病態機序と臨床像
Fatty Liver;Pathogenesis and Clinical Features
橋本 悦子
1
Etsuko HASHIMOTO
1
1東京女子医科大学消化器内科
1Department of Internal Medicine and Gastroenterology, Tokyo Women's University
キーワード:
NASH
,
非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)
,
アルコール性肝障害
,
肝硬変
Keyword:
NASH
,
非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)
,
アルコール性肝障害
,
肝硬変
pp.7-10
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100002
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■はじめに
肝臓に過剰の脂肪沈着を来たす原因は,アルコール多飲,肥満,糖尿病,高脂血症,薬剤(ステロイド,テトラサイクリンなど),脂質代謝異常,Cushing症候群,中毒(黄燐など),高度の栄養障害などが知られているが,大きくアルコール性と非アルコール性に分類される(図1).アルコール性肝障害は,脂肪肝(病理所見:脂肪肝;steatosis),アルコール性肝炎(病理所見:脂肪肝炎;steatohepatitis),肝硬変へと進行していく.一方,非アルコール性脂肪性肝障害(nonalcoholic fatty liver disease;NAFLD)は,脂肪肝にとどまり病態は進行しないと従来考えられていた.しかし,近年NAFLDの約10%の症例は,非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis;NASH)という肝硬変,肝細胞癌に進行する病態であることが明らかになった(図2)1~4).そして,先進国では,肥満人口の急増により,NASHは今後最も頻度の高い重症肝疾患になると試算されている5).
わが国においても,人間ドックにおける脂肪肝の診断の頻度は,NAFLDの増加をうけて,アルコールと非アルコールを併せると約2~4割ときわめて高頻度となった6).そして,このような現状から,ウイルス性肝疾患や自己免疫性肝疾患でもNAFLDの合併が問題となり,その原疾患への影響が明らかにされてきている.本稿では,肝脂肪沈着とその病態機序と臨床像に関して概説する.
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