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●肝細胞癌の治療効果判定
肝細胞癌に対する局所治療法としてリピオドール混入肝動脈化学塞栓術(Lp-TAE)や経皮経肝エタノール局注療法(PEIT)が広く採用されてきたが,近年,より治療効果を高める手法としてマイクロ波凝固療法,ラジオ波焼灼療法などが新たな治療法として普及しつつある.これらの治療法による長期生存を得るためには,直後の正確な治療効果の判定と再発診断が重要であり,各施設はUS,CT,MRIなどを駆使しているのが現状と言える.いずれの診断法も近年における診断精度の向上は目覚ましく,USにおいても同様である.精度の向上により,細い血管を緩やかに流れる血流を高率に捉えることができるようになってきたカラードプラ法(パワードプラ法を含む)も,肝細胞癌治療効果判定に導入され,この有用性が報告されてきた1).しかし,心拍動による影響を受ける部位では十分な評価ができなかったことや,濃染像として腫瘍残存部の範囲を同定することが不可能であることなどにより,診断限界症例に遭遇する場合も少なくなかった.一方,最近注目されている造影USにおける進歩は著しく,造影剤対応モードを搭載した高性能超音波装置で間欠送信などの手法を用いれば,血流豊富な肝細胞癌の腫瘍濃染像は造影CTと同等あるいはこれを凌駕する成績で捉えることが可能であり,血流が欠除した治療効果良好部は鮮明な実質濃染内の造影欠損部として描出されることが明確となった2~4).この事実は,肝細胞癌局所治療効果判定に対する非常に有力な診断手法が誕生したことを示しているばかりでなく,腫瘍の残存部に対し選択される治療法の多くが超音波ガイド下で行われることを鑑みると,造影USによる治療効果判定の意義は高いと考えられる.
本稿では,われわれの施設での造影USの方法ならびに本手法を用いた肝細胞癌の局所治療効果判定成績について概説する.
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