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■はじめに
Sonazoid(製造販売先:第一三共株式会社;提供先:GE Healthcare)は2007年1月に日本で初めて世界に先駆けて認可された第二世代の超音波造影剤である.Sonazoidは低音圧でリアルタイムに血流イメージを得ることができるという点とPost-vascular phaseでKupffer細胞への取り込みが極めて顕著に起こり,10分以後60分程度まで安定したKupffer imageが得られることが大きな特徴である.
肝癌診療における画像の役割は表1に示すとおりである.なかでもUS・CT・MR等の画像診断の進歩にもかかわらず,肝癌診療には,スクリーニング・ステージング・治療効果判定・治療ガイド・治療後の局所再発の局在診断・治療後の再発診断などにおいていまだ難題が数多く残されている(表2).Levovist造影においてはこれらのうち,鑑別診断1~4)・悪性度評価5),TAEの治療効果判定6~8)あるいは穿刺ガイドの治療支援9,10)においてはある程度,臨床に貢献するまでのレベルに到達したが,ラジオ波後の治療効果判定11)やスクリーニング,あるいはStagingと言った面では限界があった.
一方,Sonazoidの最大の特徴は10~60分という安定したKupffer phase imagingならびに,低音圧でリアルタイムに血流イメージが得られるという点である(表3).筆者がSonazoidの発売以前に持っていた漠然とした考えは「SonazoidはLevovistよりもvascular imagingに優れ,使いやすくなるだろう.また装置もそれほどhigh-endの装置でなくても描出が可能となり,したがって,技術依存・装置依存性が改善され,少なくとも今よりは造影超音波検査は普及するであろう」という程度のものであった(表3).しかしながら,Post-vascular phase imageについては極めて安定的ではあるが,その大きな目的は転移性肝癌のStagingであるということを考慮すると「日本ではあまり,一般的にはPost-vascular phase imagingは用いられないであろうし,その点で肝癌の臨床を大きく変えることはあまり期待できないのではないか」と若干,否定的な見解を持っていた.しかしながら,2007年1月10日発売以来,数か月間の使用を経た現時点ではその考えは大きく変わり,特に次に紹介する画期的な手法が考案されたことにより,Sonazoid造影エコー法は肝癌の臨床を大きく変えるinnovativeかつbreakthrough technologyとなるであろうという確信を持つに至った.
その極めて画期的な手法とは,Post-vascular phaseにてDefectを呈した部分にもう一度Sonazoidをre-injectionして行うDefect Re-perfusion imagingの開発である12).この手法を導入することにより表2に示したような肝細胞癌の診療の多くの問題点が劇的に改善されつつある.それではSonazoid造影エコーがどのように肝癌の診療を変えつつあるかそのインパクトについて順を追って紹介する.
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