連載 始める人と関わる人のための「消化器病理診断の基礎知識」[2]
膵臓:迅速診断の正診率は5割か!?
福嶋 敬宜
1
1ジョンズ・ホプキンス大学医学研究所病理部
pp.269-276
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100499
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「大丈夫ですよ,先生.膵臓は迅速病理で見てもらっても5割しか分からないと,患者さんには伝えてありますから.」
外科のK先生が迅速診断中のわれわれのところに来ては決まって言われていたセリフです.いきなりこんなことを言われたらムッとする病理医もきっといるでしょう.しかし,ここまでストレートに言われると,私たちはかえって気が楽になっていたような気がします.もちろん膵臓(膵癌疑いの症例や膵癌症例の膵断端など)の迅速診断の正診率が5割とは思いません.もう少しは良いはずです.しかし,膵臓の迅速診断を経験したことのある病理医なら,誰でも1つや2つ苦い経験があるのも事実でしょう.そんな迅速診断の難しさを知っていて言われているのがK先生なのです.
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