原著
早期子宮体がんにおける術前診断の正診率と術式別(開腹・腹腔鏡・ロボット手術)の治療成績
川口 龍二
1
,
上林 潤也
1
,
坂元 優太
1
,
中澤 遼
1
,
松岡 基樹
1
,
山中 彰一郎
1
,
河原 直紀
1
,
岩井 加奈
1
,
山田 有紀
1
,
木村 文則
1
1奈良県立医科大学産婦人科学講座
pp.959-965
発行日 2025年10月10日
Published Date 2025/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698650790100959
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▶要旨
早期子宮体がんにおける術前診断の正診率と術式別の治療成績を検討した.術前の評価にて類内膜癌G1/G2期かつⅠA期の症例(148例)を対象とした.手術は単純子宮全摘出術+両側付属器切除術+骨盤内リンパ節郭清術とした(開腹群46例,ラパロ群71例,ロボット群31例).
筋層浸潤を評価するMRIの正診率は89.2%で,子宮内膜組織診の正診率は79.6%であった.術後病理組織診断でリンパ節転移を認めた症例はなく,術前画像診断のリンパ節転移の陰性的中率は100%であった.再発は8例に認め,再発部位は腟断端4例,肺転移が3例,骨盤腹膜への播種が1例であった.8例のうち7例は再発低リスク,1例が中リスクで,いずれも術後補助療法は施行されていなかった.また,3つの術式間において,全生存率および無病生存率に有意な差は認めなかった.
今回の検討から,術前の組織診断・筋層浸潤の診断が正しければ,再発例を含めてリンパ節へ転移を認めた症例はなく,骨盤内リンパ節郭清は省略できると思われる.

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