増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
5.感染症検査
5 インフルエンザの迅速診断
三田村 敬子
1
1永寿総合病院小児科
pp.1257-1258
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101103
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
はじめに
インフルエンザはA型およびB型インフルエンザウイルスの感染による急性感染症で,わが国では毎冬国民の少なくとも5~10%,小児の30%以上が罹患するといわれる罹患率の高い疾患である.高齢者のインフルエンザによる肺炎は冬季の超過死亡の原因であるが,呼吸器系に限らず様々な合併症を引き起こし,小児では冬季の入院の主たる原因疾患であるばかりでなく,わが国では重症の脳症の発生が問題になっている.インフルエンザのリスクは臨床の様々な場面で配慮されねばならないが,従来のインフルエンザの診断はインフルエンザ様症状と周囲の流行や接触歴を合わせて臨床判断にのみ頼る状況であった.しかし,インフルエンザ抗原検出迅速診断キット(以下キット)によって一般臨床の場でリアルタイムのインフルエンザ検査診断が可能となった.現在はA型とB型を鑑別できるようになり,冬季の基本的な検査のひとつとなっている.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.