技術講座 超音波内視鏡(ラジアル走査式)による膵・胆道領域の描出法
第3回 十二指腸下行脚から膵頭部を描出する
真口 宏介
1
,
斉藤 吉毅
2
1手稲渓仁会病院消化器病センター
2オリンパス(株)超音波事業推進部
pp.103-111
発行日 2004年1月15日
Published Date 2004/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100379
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さて,いよいよ膵頭部の描出法に進みます.膵頭部は初心者のみならず,EUSをすでに施行されている先生方にとっても最も描出しづらく,描出された画像の理解が難しい部位と言えるでしょう.ここでは出来るだけやさしく解説したいと思います.
●十二指腸下行脚からの走査法について―PULL法とPUSH法
十二指腸下行脚での走査法は大きく2つに分けられます.PULL法とPUSH法です.PULL法とは,ERCPのstretchの要領でスコープを十二指腸下行脚まで誘導し,引き抜きながら描出する方法です.これに対しPUSH法は,スコープを十二指腸球部から下行脚へ押し進めるようにして描出する方法です.皆さん考えてみて下さい.PULL法とPUSH法のどちらが十二指腸下行脚の奥にスコープが進みやすいでしょうか?
答えは簡単です.PULL法です.
ERCPを行ったことのある先生であれば解ると思いますが,stretch法では十二指腸下行脚内でスコープを引くことで先端が奥へと進んでいき,乳頭部を越えて下十二指腸角まで進みます.もちろん,PUSH法でもスコープをどんどん押していけば下行脚の奥へ到達できますが,EUSのスコープ先端硬性部は汎用の上部消化管スコープより硬く,しかも長く存在するため抵抗感が強く,これでは患者さんに苦痛を与えますし,穿孔の危険も伴います.したがって,PULL法による走査が原則となります.ただし,PULL法では胆管の描出が若干困難な場合があり,この時にはPUSH法を用いると中部胆管から下部胆管が描出しやすく役に立ちます.これらの点を標準的描出法では表1のように記載しています.
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