LETTERS
ALSの分子病理最前線—TDP-43とStathmin2のクロストーク
森 望
1,2
1福岡国際医療福祉大学医療学部
2長崎大学
pp.881-883
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202698
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本誌2024年4月号の特集は「神経病理最前線」,3月号は「きちんと説明ができますか?」であった。私事ながら,長年「老化脳」研究をしつつも定年を迎えると,さすがに客観的な老化研究だけでなく自身の「老化脳」にも関心が向く。これまでは「生理的な」老化に関心があったが,「病理的な」老化も気になり出した。アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)やパーキンソン病に他の認知症など,その背景にある神経病変をきちんと説明できるか,これら特集号の啓発に刺激されながら,加齢依存性の神経変性病理を説明してみようと,自らの研究史(の一端)1)を振り返りながら考えてみた。
進行性の重篤な神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の神経病理ではRNA結合蛋白質であるTDP-43の病理像が知られて久しい2)。TDP-43は本来神経細胞の核内で機能するものだが,ALS患者の組織では運動神経細胞の細胞質に封入体を形成して隔離され,核内機能が損なわれる。
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