特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
3.ゴルジ体
ALSにおけるゴルジ装置の断片化とTDP-43
藤田 行雄
1
,
岡本 幸市
1
Yukio Fujita
1
,
Koichi Okamoto
1
1群馬大学大学院 医学研究科 脳神経内科学
pp.416-417
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101336
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,運動神経細胞の変性脱落により四肢の筋力低下や構音・嚥下障害を来し,数年の経過で呼吸筋麻痺により死亡するいまだ治療法のない神経変性疾患である。神経病理学的には運動神経細胞の変性脱落に加えて,残存神経細胞の胞体内にBunina小体やユビキンチン陽性封入体の出現を特徴とする。このうちユビキンチン陽性封入体の構成蛋白は長らく不明であったが,2006年,構成蛋白の一つとしてTAR DNA-binding protein of 43 kDa(TDP-43)が同定された。さらにその後,TDP-43をコードするTARDBP遺伝子変異を有する家族性ALS家系が多数報告され,現在ではTDP-43がALSのkey proteinとして認識され研究が進められている。われわれは,これまでにALSをはじめとする運動ニューロン疾患,およびその他の神経変性疾患のゴルジ装置の異常について免疫組織学的に検討を重ねてきた。本稿ではその結果を中心に概説する。
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