特集 迷走神経の不思議
扉
pp.953
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202159
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迷走神経は延髄から出る第Ⅹ脳神経であり,「迷走」の名前からもわかるように,多数に枝分れして複雑な経路を示し,胸腔内から腹腔内にまで及ぶ脳神経中最大の分布領域を有している。中枢と末梢,身体とをつなぐ自律神経機能,心身連関の根幹をなし,その失調は失神やてんかんといった意識障害とも関連する。迷走神経刺激は薬剤抵抗性てんかんに対する治療として行われているが,海外ではうつ病に対しても用いられ,また他疾患への応用も研究されている。脳腸相関の観点からは,パーキンソン病の発症・進展との関連や,食品成分を通じた認知機能の改善に関する報告がみられる。このように,迷走神経は人体の機能や疾患と多様な関わりをもつ。その奥深い世界をお楽しみいただきたい。
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