連載 臨床神経学プロムナード—60余年を顧みて・15
母指/母趾さがし試験(真の深部感覚の検査法):自己固有感覚性定位とは/その手技のポイント
平山 惠造
1,2
1千葉大学(神経学講座)
2日本神経治療学会
pp.721-723
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202104
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1)はじめに:従来の深部感覚検査法の疑問から
筆者が臨床神経学を専攻し始めた1950年代後半では,「深部感覚検査法」に二つの手技が常用されていた。一つは,患者が閉眼してから,検者が患者の指/趾を背屈/掌屈(底屈)し,患者がそれを当てるものである。他の一つは,音叉による振動覚検査である。筆者は,これらの検査方法では皮膚(表在)感覚が相当に関与すると考えられるので,深部感覚検査としては疑問に思っていた。しかし,その後も疑問を持ちながらも使用していた。拙著「神経症候学」の初版(1971)1)でも,これらを「深部知覚」の項目に検査法として記述した。それと共に,そこに追記するような形式で今回のテーマである「母指/母趾さがし試験」を記載した。しかし,その後検討を加え,この試験に関与する感覚は別のカテゴリーのものであることが判明して行った。
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