特集 脳腸相関—脳-身体の双方向性制御
扉
pp.849
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201850
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神経系の状態が腸へ影響を及ぼし,また逆に腸の状態も脳に影響を及ぼす双方向の現象があることは古くから知られ,昨今「脳-腸相関」(brain-gut interaction)と呼ばれ注目を浴びている。また腸を含む多臓器間ネットワークと脳との相互の関係も内臓と神経系の相互調節系として捉え直され,従来の臓器別の疾患理解が大きく変化しつつある。実際に脳と腸は単に自律神経系だけでなく,ホルモン,サイトカインなどの液性因子を介して密に関連していることが知られており,消化機能だけでなく,内分泌機能,免疫機能にも関わっている。また,腸管の腸内細菌が脳-腸相関に多大な影響を与えることが明らかになり,脳-腸相関は精神神経疾患の新たな治療ターゲットとなる可能性がある。本特集では,この脳-腸相関の生理的機能を概説し,現在解明されている精神神経疾患との関わりについて解説していただく。
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