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書評 「Dynamic diagnosisに必要な脊椎脊髄の神経症候学」—福武 敏夫,德橋 泰明,坂本 博昭【編】
桑原 聡
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1千葉大学大学院医学研究院 神経内科学
pp.962
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200849
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神経疾患の診療・研究は分子生物学,画像診断の飛躍的発展を受けて,病態が次々に明らかにされ,その病態に基づく分子標的治療の時代に入っている。しかし,一線の神経疾患診療において最も重要なのは病歴に基づいて適切な診断と治療に向かうオリエンテーションであり,これは普遍的で今後も確固として変わらない。同時に臨床医は,古典的王道である診断学と近年に発展した新技術を有機的に結び付け,最も効率的な診療を行うことが求められている。
本書は,10年以上前の2005年に出版された「脊椎脊髄ジャーナル」の特集号で,発刊以来売れ続けていた原版を,新たに改版したものである。「Dynamic diagnosis」とは,臨床的技術(病歴聴取・神経学的診察)と発展を続けている機械的技術をダイナミックに結び付けた新時代の診断学と定義されている。そして,その「Dynamic diagnosis」に必要な新時代の神経症候学が提唱されている。このコンセプトは,もともとの特集号でも見事にまとめられていた。今回,バージョンアップされた本書が出版されたことは,時を得た企画といえる。
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