書評
Dynamic diagnosisに必要な脊椎脊髄の神経症候学
松山 幸弘
1
1浜松医科大学整形外科
pp.791
発行日 2017年8月25日
Published Date 2017/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200693
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
最近の若い脊椎脊髄外科医はとかく画像診断を優先し,患者の症候を軽視する傾向があるようだ.脊柱変形の診断も同様で,単純X線写真の変形をみて診断し,症候を詳しく調べていないことがある.脊髄傷害高位診断や病態を突き止めるうえで最も大切なのは,患者をみて,触って,そして表情や歩き方もみて全体像を把握することである.本書『Dynamic diagnosisに必要な脊椎脊髄の神経症候学』は,生きた神経症候学を教えてくれる.Dynamic diagnosisという言葉について,序文に「臨床的技術(病歴聴取と神経学的診察)と機械的技術とをダイナミックに結びつける,新時代の神経症候学を提唱するため」と述べられているが,Dynamicとは活用できる生きた診断学,症候学を示すとも思う.
症候診断学にはそれぞれポイントがある.もちろん神経症候の教科書的知識は大切であるが,その表現の仕方や描出の仕方,みるポイントを非常にわかりやすく解説したのが本書である.
Copyright © 2017, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.