海外留学 不安とFUN・第10回
サンディエゴ(ラ・ホヤ)での研究生活・3
﨑元 晋
1,2
1The Friedlander Laboratory, The Scripps Research Institute
2大阪大学眼科学教室
1The Friedlander Laboratory, The Scripps Research Institute
pp.1548-1549
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211973
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Dr. Friedlanderのこと
留学先のボスであるDr. Friedlanderは眼科医であり,隣接するスクリプスクリニックで診療を行いつつ,スクリプス研究所では網膜疾患に対する基礎研究の指導を行っています。Friedlander labは2000年代前半に虚血性網膜症および網膜変性疾患に対する骨髄由来幹細胞の治療効果をマウスモデルにて証明しました。
Dr. Friedlanderはスクリプス研究所のラボの教授のみならず,難病である特発性傍中心窩毛細血管拡張症(MacTel)の研究に特化する研究所,Lowy Medical Research Institute(LMRI)のプレジデントも務めています。この研究所はオーストラリアを中心に事業を展開するウェストフィールドショッピングセンターを経営するLowy一族からの寄付によって運営されており,世界各国の眼・視覚に関する研究のエキスパートがMacTelプロジェクトに参加しています。年に一度開かれるLMRIミーティングでは,網膜細胞生物学(神経および血管),遺伝学者,臨床研究そしてイメージングなど多岐にわたる分野の教授が一堂に会し,さながら網膜研究のオールスター集合といった感じです。なぜこの希少疾患に対してそれだけの一流の研究者が同時にプロジェクトを遂行できるのでしょうか? それを可能にするのは,数億円以上ともいわれる豊富な資金を提供するLowyグループの財力であり,創業者のFrank Lowyの血縁がMacTelに罹患してしまったことに他ならないのかもしれません。
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