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書評 「臨床てんかん学」—兼本浩祐,丸 栄一,小国弘量,池田昭夫,川合謙介【編】
田中 達也
1,2
1旭川医科大学
2国際抗てんかん連盟(ILAE)
pp.406
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200413
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てんかんは,2000年以上の前から難治の病として知られており,根本的な治療法の模索が現代までも続いている極めて特殊な病態でもある。世界の人口は約72億7,000万人と報告されている(「世界人口白書2014」より)。人口の約0.8%がてんかんに罹患していることから,全世界には,約5,810万人以上のてんかん患者がいることになる。てんかんは治療費の面からも,各国の行政上の政策としても,非常に重要な課題と考えられている。
日本の現在の人口は1億2,000万人強となり,約100万人の患者が推定されているが,80%以上の症例では,きちんとした治療により発作はコントロールされており,通常の社会生活が十分に可能である。しかし,てんかんの大きな問題点は,偏見である。このため,学校生活,雇用,人間関係にさまざまな問題があり,社会的な弱者に対しての,法制度の整備も十分とは言えない状況にある。2011年と2012年に起きた,てんかん患者による悲惨な交通事故は,てんかん治療の社会的な問題の複雑さ,てんかん治療の重要性を再認識させられた。しかし,一面では,法制度整備の盲点を浮かび上がらせたとも考えられる。
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