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書評 「心因性非てんかん性発作へのアプローチ」—Lorna Myers【原著】 兼本浩祐【監訳】 谷口 豪【訳】
中里 信和
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1東北大学大学院・てんかん学分野
pp.69
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200348
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心因性非てんかん性発作(Psychogenic Non-Epileptic Seizure:PNES)とは,感情的問題が引き金で生じる発作であり,脳の電気的興奮が原因のてんかん発作とは病態が異なる。てんかん発作と酷似するためベテラン医師でも鑑別が難しく,患者によっては真のてんかん発作に合併する場合もあり,臨床現場では診療に苦慮する場合が少なくない。本書は米国の臨床心理士が執筆した書籍を,てんかんを専門とする精神科医の谷口豪先生が訳したものである。谷口先生は,てんかんとその周辺疾患の心の問題について造詣が深いだけでなく,患者の生活全般にわたる広い視野を持ちつつ社会全体に対しての啓発活動にも積極的に取り組んでいる。
原著者は執筆の「第1の目的はPNESの患者の教育」であるとして,「教育を受けた患者は(中略)ドクターショッピングをするのをやめ(中略),患者自身が治療を強力に主導できるようになるのです」と書き出している(「原書の序」より)。さらに「第2の目的は,患者の家族や愛する人たち,医療従事者,そして一般の多くの人にこの病気を知ってもらうこと」と述べられている。
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