- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Seymour Benzer(1921-2007)。1921年,ニューヨーク州のブルックリンに生まれる。1942年,ニューヨーク市立大学ブルックリン校で物理学を専攻し,パデュー大学において,固体物理学のパイオニアであるカール・ラーク=ホロヴィッツの下で学び,1947年に博士号を取得する。このときに彼が発見した高電圧に耐えるゲルマニウム結晶が,後年,半導体研究の大きな推進力となり,トランジスタの発明に結びついている。しかし,彼の興味は生物学へと移り,パデュー大学の物理学教室に籍を置きつつもオークリッジ国立研究所,カリフォルニア工科大学のマックス・デルブリュックの研究室,コーネリアス・ヴァン・ニール研究所,パスツール研究所のアンドレ・ルウォフの研究室,コールド・スプリング・ハーバー研究所などのさまざまな場所でバクテリオファージの研究を進めた。遺伝子の操作論的な定義(シストロン,レコン,ムトン)を提唱し,遺伝子は染色体状に一列に並んでいるだけでなく,遺伝子(シストロン)の内部も一列に並んだムトンから構成されていることを証明した研究で有名。1967年にカリフォルニア工科大学の生物学教授となり,ショウジョウバエを用いた行動遺伝学の研究を開始する。ショウジョウバエにおける走光性,概日リズム,求愛行動,学習行動などの突然変異体を発見し,遺伝子が行動を規定することを証明した。
1964年,2004年にガードナー国際賞(2回),1971年にアルバート・ラスカー基礎医学研究賞,1982年にアメリカ国家科学賞,1991年にウルフ賞医学部門,1993年にクラフォード賞,2000年にはわが国の国際生物学賞を受賞するなど,輝かしい受賞歴を持つが,ノーベル賞に選ばれることはなかった。2007年11月30日,カリフォルニア州パサデナにて死去。
![](/cover/first?img=mf.1416101746.png)
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.