書評
「標準神経病学 第2版」―水野美邦●監修 栗原照幸,中野今治●編
西澤 正豊
1
1新潟大学脳研究所・神経内科学
pp.1330
発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101349
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神経学の代表的なテキストとして,医学生だけでなく,リハビリテーション学生,薬学生にも広く読まれてきた『標準神経病学』が,初版から11年ぶりに改訂されたことをまず歓迎したい。本書の母体となった『神経病学』は田崎義昭・吉田充男両先生の編集になるユニークな,しかも高度な内容を含んだ神経学のテキストとして名高く,当時レジデントであった筆者も愛読していたものである。
その後継書として,標準シリーズの1冊として出版された本書の初版は,神経学をわかりやすくという視点から,神経系の構造と機能を中枢から説き起こすことを避け,神経系の症状を一番末梢の筋肉から順に末梢神経,中枢神経系にたどるという独創的な編集方針が採用された点で,類書にないユニークな構成をとっていた。この考え方は,例えば,筋力低下をみて局在診断を考える場合,筋肉から順に中枢にさかのぼって考えるほうが確かに整理しやすく,多くの神経内科医が実践している実際的な方法であろう。
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