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連載 神経学を作った100冊(68)
マリー『脊髄疾患講義録』(1892)
One Hundred Books which Built up Neurology (68)-Pierre Marie: "Leçons sur les Maladies de la Moelle" (1892)
作田 学
1
Manabu Sakuta
1
1日本赤十字社医療センター神経内科
1Department of Neurology, Japanese Red Cross Medical Center
pp.970-971
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101277
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マリー(Pierre Marie;1853-1940)はパリの裕福な家庭に生まれた。25歳のときにパリ病院のアンテルヌとして絶頂期のシャルコー(Jean-Martin Charcot;1825-1893,当時54歳)に仕えた。マリーは1886年に今日シャルコー・マリー・トゥース病として知られている症例を報告する1)。さらに1886~1889年にかけて,アクロメガリーを臨床報告し,さらに1890,1891年に病理報告をした。35歳でパリ病院医師,36歳で教授資格試験に合格し病棟医長として1891年夏にパリ大学医学部の連続講義を行った。それをまとめて本にしたのが本書であり2),したがって,本書にはシャルコーへの献辞がある。
本書の構成は,1章「脊髄の解剖」,2章「錐体路の二次変性」,3章「脊髄の横断性障害による下向変性」,4章「神経根の障害による上向変性」,5章「脊髄の横断性障害による上向変性」,6,7章「肢の切断による神経と脊髄の変性」に始まる。第8,9章はtabes dorsal spasmodiqueについてであるが,これは1875年にエルプ(Wilhelm Heinrich Erb;1840-1921)がspasmodic spinal paralysisと名づけ,リトル(William John Little;1810-1894)が脳の障害によると考えたものである。今ではリトル病として知られている。
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