書評
「《神経心理学コレクション》ふるえ[DVD付]」―柴﨑 浩,河村 満,中島雅士●著 山鳥 重,河村 満,池田 学●シリーズ編集
廣瀬 源二郎
1,2
1浅ノ川総合病院脳神経センター
2金沢医大
pp.98
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101108
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神経心理学コレクションシリーズとして出版された『ふるえ』は極めてユニークである。神経心理学とは大脳皮質の高次機能を脳の構築と関係づける学問であり,医学書院のこの神経心理学コレクションも言語,行為,知覚から意識や記憶まで多岐にわたる人間の高次機能を新しい切り口でとらえ直すシリーズとして発刊されたものである。
今回の『ふるえ』は振戦のみならず,ミオクローヌス,ジストニー,舞踏運動などいわゆる不随意運動について臨床神経生理学の第一人者である柴﨑 浩先生が経験された症例の動画を提示して説明し,2人の聞き手が問いかけ,コメントする形でつくられている。多くは基底核,小脳の機能障害である不随意運動を神経心理学シリーズで取り上げた点は今までにない発想である。ただ不随意運動はすべて運動障害であり,その多くはどこに原因があろうと運動野を中心とする運動調節中枢が最終的に関与して脊髄前角細胞を発火させるfinal common pathを考えればこのユニークさも理解できる。
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