特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅳ. びまん性病変
1. びまん性炎症性病変
Gastroenterocolitis cystica polyposa(里吉病に伴う胃病変)
福田 芳生
1
,
徳重 浩一
1
,
井戸 章雄
2
Yoshio FUKUDA
1
,
Kouichi TOKUSHIGE
1
,
Akio IDO
2
1鹿児島厚生連病院
2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器疾患・生活習慣病学
キーワード:
萎縮
,
囊胞状隆起
,
色素沈着
Keyword:
萎縮
,
囊胞状隆起
,
色素沈着
pp.280-281
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000452
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疾患の概要
里吉病は,こむら返り,脱毛,下痢を3徴とする原因不明の疾患である。1963年にSatoyoshi(里吉)ら1)によって最初に報告され,現在まで世界で50数例の報告がある。こむら返りと脱毛は報告例のほぼすべてに認める一方,下痢を認めるのは半数程度とされている。3徴のほか,女性例では大多数に無月経をきたし,15歳以下の発症で筋痙攣が高度な例では,発育障害や関節,骨の変形を認める。剖検で得られた消化管の特徴的な組織所見は,gastroenterocolitis cystica polyposa(GCP)として知られている。すなわち,胃,十二指腸,小腸,大腸に多発する大小不同の隆起性病変,粘膜上皮の高度な萎縮と脱落,粘膜固有層から粘膜下層の著明な線維性肥厚と炎症細胞浸潤,腺囊胞性拡張と多発する深在性囊胞が特徴とされる。以前は,呼吸筋痙攣による急性呼吸不全,消化管病変による吸収不良症候群からの低栄養,敗血症での死亡例が多くみられ予後不良と考えられていたが,最近では早期に診断して治療を開始すれば比較的予後は良好とされている。
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