糖尿病患者の口腔健康管理 はじめの一歩・7
歯周病—気づいて,治す
髙野 直久
1,2
1(公社)日本歯科医師会
2髙野歯科医院
pp.612-614
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200716
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歯の傾斜(出っ張りや離開)
糖尿病の治療が開始されていない人の中には,食事療法を自己的に選択されている人や,単にまだ医科を受診されていないがために,診断がなされず治療に至っていない場合などもあります.このように糖尿病として確定診断されていないだけで,実質的には高血糖を長期にわたり示されている人では,なおさら歯科においても受診されていないため,歯周病がかなり進行している人が時々見受けられます.定期的歯科に受診してメインテナンスを受ける「かかりつけ歯科医」を持っている方でなくとも,何か問題を感じて歯科受診する方の意識では「かかりつけ歯科医」と思っているような方(実際は「行きつけの歯科医」として半ば決めているような方)も多く見受けられますが,このような人たちでもない,たとえば行政から送られてくる歯科検診の案内を開けずに放置している方の中に,おそらくは本来のターゲットとして拾わなければならない方が多く存在しているように思われます.このような背景において,糖尿病を疑い受診された方の診察における医療面接の際に,図1のように口元を見て歯の出っ張りや傾斜(離開も含む)が見られるような場合,歯周病も進行していることが多いので,一手間ですが,舌圧子にて口腔内を診ていただけますと,歯周病の重症化していることを,受診された方にお伝えするこの上ない好機となるように思います.
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