増刊号特集 Brush Up! CDE 糖尿病合併症事典
Ⅱ慢性合併症
【細小血管障害】
歯
歯周病(慢性歯周炎)
西田 亙
1
1にしだわたる糖尿病内科
キーワード:
①歯周病
,
②慢性歯周炎
,
③嫌気性菌感染症
,
④インスリン抵抗性
,
⑤コインの裏表
Keyword:
①歯周病
,
②慢性歯周炎
,
③嫌気性菌感染症
,
④インスリン抵抗性
,
⑤コインの裏表
pp.279-281
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101707
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症例 42歳 男性
34歳から関節リウマチと糖尿病治療のため,通院していた.HbA1cは7%前後で安定していたが,39歳時にHbA1cが11.4%まで急激に悪化したため,糖尿病内科外来でインスリンを導入.その後,HbA1cは6.2%まで改善したが,次第に増悪しHbA1c 10%台が持続するため,糖尿病内科に入院した.
入院後の問診により,「毎朝歯茎からの出血で枕が赤く染まる」ことが明らかになり,直ちに歯科口腔外科を紹介.重度の慢性歯周炎が認められ,上顎と下顎の2回に分けて歯周治療が行われた.
入院当初は,エネルギー制限食と総量20単位のインスリン皮下注射を行っていたにもかかわらず,血糖日内変動は200~300mg/dLで推移.しかし,歯周治療が完了した頃から,血糖値は改善し,インスリン必要量も低下.退院2日前にはインスリンは不要となり,内服のみ(メトホルミン750mg)で退院することとなった(図1).
白状すると,本患者の外来主治医は私でした.多忙な外来を言い訳にして,患者の口腔内まで診察することを怠っていたことはもちろん,毎月の外来において歯肉出血のサインを見逃していました.入院を契機に,この事実に初めて気づくとともに,大いに反省した次第です.
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