こんな時どうする!? 糖尿病患者によくみられる皮膚症状【新連載】
皮膚瘙痒感(1)
末木 博彦
1
1昭和大学医学部 皮膚科学講座
pp.60-61
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200331
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■内科医からのQuestion
80歳台の女性.20年来の糖尿病,インスリン治療中.3カ月前から腰部〜下肢を中心に強い瘙痒感を訴える.真夏にもかかわらず皮膚は乾燥し,軽度の鱗屑がみられる.瘙破痕に沿って線状に鱗屑が目立つ(図1).止痒の目的にベポタスチンベシル酸塩10 mg錠を処方したが,無効.HbA1cは7.0%前後で推移しており,大きな変化はない.適切な治療法は?
■皮膚科医からのAnswer
明らかな皮疹がみられないのに瘙痒感を生ずる病態を皮膚瘙痒症という.一部の部位に限局する場合を限局性皮膚瘙痒症,全身に部位不定に生ずる場合を全身性皮膚瘙痒症と分類する.本症例は主にドライスキンに伴う限局性皮膚瘙痒症と考えられる.保湿効果のあるヘパリン類似物質製剤(ヒルドイド® ソフトなど)や白色ワセリンを外用し,改善がみられない場合は皮膚科へのコンサルトをお願いしたい.保湿薬に加え,ステロイド外用薬の重層法が有効なことがある.
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