Updates 2016
SAP(sensor augmented pump)療法
石川 惠理
1
,
清水 一紀
1
1心臓病センター榊原病院 糖尿病センター
pp.56-59
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200330
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
欧米では,1990年代から持続血糖測定(continuous glucose monitoring : CGM)の技術が進歩し,皮下組織間液の糖濃度の持続的な記録が可能となった.日本でも,2010年4月にCGMが保険適応となり,その臨床応用では今までみえなかった夜間の血糖におけるインスリン量の調整などについて,新たな発見が生まれている.
CGMを利用した糖尿病治療はさらに進歩し,2014年12月,日本メドトロニック社よりミニメド620Gインスリンポンプが発売され,2015年2月より使用可能となった.ミニメド620Gインスリンポンプに付随するトランスミッター(送信器)を装着するとリアルタイムCGMとなり,これをSAP(sensor augmented pump)と呼ぶ.CGMで測定された皮下組織の糖濃度がリアルタイムでインスリンポンプの画面に表示されるため,グルコース値の変動を実際に観察しながらインスリンポンプの調整を行うことができる(Tips 1).この技術により,糖尿病治療は,血糖値やインスリン投与に合わせて生活を制限する従来のものから,個人の生活やインスリン分泌パターンに合わせてインスリン投与量を調整するものへと進化することが期待される.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.