増刊号特集 Brush Up! CDE 糖尿病合併症事典
Ⅱ慢性合併症
【大血管障害】
脳梗塞
及川 博隆
1
,
寺山 靖夫
1
1岩手医科大学内科学講座 神経内科・老年科分野
キーワード:
①糖尿病
,
②ラクナ梗塞
,
③アテローム血栓性脳梗塞
,
④心原性脳塞栓症
,
⑤高血圧症
,
⑥脂質異常症
Keyword:
①糖尿病
,
②ラクナ梗塞
,
③アテローム血栓性脳梗塞
,
④心原性脳塞栓症
,
⑤高血圧症
,
⑥脂質異常症
pp.286-288
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101709
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症例 58歳 男性 会社員
主訴:左上下肢の脱力.
既往歴:健康診断で糖尿病,高血圧症,脂質異常症を指摘されたが,医療機関受診歴なし.
家族歴:特記すべきことなし.
生活歴:飲酒歴;ビール350mL/日.喫煙歴;10本/日,40年間
現病歴:1週間ほど前から左上肢の脱力感を自覚していたが,様子をみていた.3日前より左下肢の脱力も出現し,歩行が困難となった.本日起床時より左上下肢脱力はさらに増強し立ち上がることができなくなったため,当科を受診した.
入院時現症:身長168cm,体重67kg,体温36.0℃,血圧160/95mmHg,脈拍94/分,整.結膜に貧血,黄疸なし.腹部は平坦,軟.聴診上心雑音,頸部血管雑音を聴取せず.神経学的には軽度の構音障害と顔面を含む左不全片麻痺を認めた.
検査所見:頭部MRI拡散強調画像で右前頭葉皮質および皮質下白質に急性期脳梗塞巣を認め(図1A, B),頭部MRAでは両側内頸動脈錐体部,海綿静脈洞部の壁不整を認めた(図1C).右総頸動脈造影側面像では右内頸動脈起始部に高度狭窄を認めた(図1D).血液生化学検査ではHbA1c 10.5%,空腹時血糖289mg/dL,LDL-C 214mg/dLと異常値を認めた.
経過:右内頸動脈起始部高度狭窄に伴うアテローム血栓性脳梗塞(動脈原性脳塞栓症)と診断し,抗血栓薬点滴,内服および急性期リハビリテーションを行い症状は改善傾向を示した.同時に,糖尿病,脂質異常症に対し食事療法および薬物療法を行った.慢性期に,右内頸動脈狭窄病変に対し頸動脈内膜剝離術を施行した.
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