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特集 糖尿病診療の将来展望 10 Topics
III.糖尿病患者のケアは…
糖尿病患者のこころを読み取る―どこまでアプローチできるようになるか
Understanding of diabetic patient's mind:How deep can we approach the mind of diabetic patients?
北谷 真子
1
1天理よろづ相談所病院 内分泌内科
キーワード:
①心理的アプローチ
,
②エンパワーメント
,
③変化ステージモデル
,
④カンファレンス
,
⑤医療学
Keyword:
①心理的アプローチ
,
②エンパワーメント
,
③変化ステージモデル
,
④カンファレンス
,
⑤医療学
pp.623-632
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101115
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□はじめに
糖尿病を抱えながら日常生活を送る患者さんには,さまざまな障壁が待っている.そんな糖尿病患者さんに,病態のみならず心理社会的背景を考慮しながら,より寄り添いたいと糖尿病療養指導士も誕生し,糖尿病のこころのケアの重要性はたかくたかく謳われるようになった.
なのに,なぜだろう.日常で臨床に携わるわれわれは,果たして患者さんとの関わりが以前より楽になったかというと,そうでもないような気がする.われわれは,「答えはここにあるはず」と多数の研修会に参加し,本や雑誌をたくさん読んでいるにもかかわらず,やはりいつも同じ悩みを抱えながら患者と向き合う毎日を送っている.「このひとをどう援助すればいいのか」と.
どうしてだろう?
それは,その技や技術を臨床の場でなかなか使えないからではないだろうか.また,どう使っていいのかわからないからではないだろうか.ここに,私は本に書かれた「わ・ざ・」と,実際に使・え・る・ことの大きなギャップをいつも感じる.知ってはいても,患者さんを前に使えなくては意味がない.また,その技が患者さんに還元できなければもったいない.
では,一体どうすればよいのだろうか.
今回は,心理的アプローチの歴史的背景と現状,それを実践しようと試みて改めてぶつかったわれわれの失敗,悩み,問題点,課題などをお話ししたい.さらに,それらを踏まえて最近行われた症例カンファレンスに触れて,今後の展望について考察したいと思う.
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