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特集 糖尿病診療の将来展望 10 Topics
II.合併症はどこまで克服できるか…
糖尿病腎症を克服する―現状と将来展望
The diabetic nephropathy will be overcome:Current state and future perspective
安孫子 亜津子
1
1旭川医科大学 内科学講座病態代謝内科学分野
キーワード:
①尿中アルブミン
,
②eGFR
,
③レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
Keyword:
①尿中アルブミン
,
②eGFR
,
③レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
pp.601-606
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101112
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糖尿病腎症の現状
糖尿病の細小血管障害は,進行することにより,患者のQOLおよび健康寿命を損ねる重大な合併症である.糖尿病腎症は,末期腎不全に進行すると,透析導入が必要となり,わが国の医療費増加の一因としても大きな問題となっている.Box 1は2009年末における年間透析導入患者の主要原因疾患を示したものであるが,糖尿病腎症はその44.5%を占めている.1998年より糖尿病腎症が慢性糸球体腎炎を抜いて第1位となり,その後は増加の一途をたどっている.腎硬化症も増加傾向にあり,やはり糖尿病,高血圧,動脈硬化といった生活習慣が関与する疾患の増加は,透析導入の大きな要因である.
現在,日本腎臓学会は,腎臓病総合レジストリーのなかのひとつに,糖尿病腎症例を対象とした予後,合併症,治療に関する観察研究という前向きコホートを実施しており,糖尿病腎症患者の実態について今後の報告が待たれる.
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