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特集 糖尿病治療の至適HbA1cを再考する
1型糖尿病治療の至適HbA1c―私の考え―大血管障害を主なエンドポイントにしてみたとき
Target HbA1c level for treatment of type 1 diabetes―My opinion:When macrovascular disease is consideres to be a primary endpoint
西村 理明
1,2
1東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科
2Graduate School of Public Health,University of Pittsburgh
キーワード:
①1型糖尿病
,
②HbA1c
,
③Diabetes Control and Complications Trial
,
④Epidemiology of Diabetes Intervention and Complications
,
⑤大血管障害
Keyword:
①1型糖尿病
,
②HbA1c
,
③Diabetes Control and Complications Trial
,
④Epidemiology of Diabetes Intervention and Complications
,
⑤大血管障害
pp.491-495
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101092
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□はじめに
典型的な小児1型糖尿病は,発症が明確であることから,世界各国でその頻度に関する知見が集積している.しかし,そのデータが蓄積されるようになったのは,主に1980年代以降のことである.したがって,小児1型糖尿病患者を登録して追跡し,合併症や生命予後の実態が報告されるようになったのは,これ以降である.
これらの報告の先駆けであるKrolewskiらによる報告によると,アメリカの1型糖尿病患者における,冠動脈疾患による死亡率は一般人口と比較して極めて高率であることが報告されている(Box 1)1).
さらに,1型糖尿病を対象に血糖値に介入し,合併症の発症を抑制できるか否かを検討した大規模介入研究としては,1990年代に入ってから報告された,Diabetes Control and Complications Trial(DCCT)2)と,この研究の対象者を介入終了後も追跡した,Epidemiology of Diabetes Intervention and Complications(EDIC)3)がある.これらの報告以外に,現在のところ1型糖尿病を対象に行われた大規模介入試験は存在しない.
したがって,本稿では,DCCT/EDICの結果に基づき,大血管障害の予防の観点から1型糖尿病治療の至適HbA1c値について述べたい.
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