Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
高齢者においても頻度は少ないながら,1型糖尿病患者が隠れている.インスリン療法が必要であり不安定型糖尿病を示す患者では,一度はGAD抗体などの自己抗体検査をすることが重要である.
高齢者でも1型糖尿病はあるのでしょうか
1型糖尿病は,一般的に8~12歳をピークに30歳ぐらいまでに,高血糖とケトアシドーシスで急速に発症するものと思われている(Box 1).しかしながら,2型糖尿病のように高血糖で発症し,13カ月以上経過後に血糖コントロールにインスリン治療が不可欠となる緩徐進行型1型糖尿病や,1週間以内に急激な高血糖とケトアシドーシスで昏睡を起こしやすい劇症型1型糖尿病の亜型が報告されているが,両者ともに40歳以降の比較的高年に発症することが知られている.1型糖尿病はそのほとんどの原因が膵β細胞に対する自己免疫疾患であることから,高齢者には認められないような誤解も多いが1),実際には,75歳以上の後期高齢者であっても多くの報告例がある(Box 2).内訳を見てみるとGAD抗体など自己抗体価の比較的高い緩徐進行型1型糖尿病(Tips 1)と急性発症型1型糖尿病の2つのタイプが約半数ずつ認められる.急性発症型は,自己抗体の陰性のことが多く,劇症型(Tips 2)に似ているが,ケトアシドーシス発症時には高血糖症状が出にくいためかHbA1Cが既に高値を示しており,この範疇には入ってこないが病態は同じ可能性がある.最近は,劇症型の発症例が報告されはじめている.緩徐進行型1型糖尿病は,高齢者ということもありインスリン治療を要することがあっても,自己抗体などの検査をしないため診断がついていないことが多いと考えられる.高血糖や低血糖を繰り返す不安定型糖尿病(Tips 3)を示すようであれば,自己抗体や内因性インスリンの検査を行うべきである.実際には,多くの患者が隠れて存在しているのではないかと思われる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.