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特集 糖尿病QOLのエビデンスとそれを高める工夫
糖尿病薬物治療とQOL―特にインスリン療法
Pharmacological therapy of diabetes mellitus and QOL
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
キーワード:
①QOL
,
②インスリン治療
,
③ITR-QOL
,
④DTSQ
,
⑤コンプライアンス
Keyword:
①QOL
,
②インスリン治療
,
③ITR-QOL
,
④DTSQ
,
⑤コンプライアンス
pp.597-603
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100878
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糖尿病薬物治療におけるQOLの歴史と枠組みは?
□インスリン治療とQOL
1.インスリン治療の効果とQOL
糖尿病治療の歴史の中でQOL(Quality-of-life)の概念が初めて登場するのは1型糖尿病患者のインスリン治療が可能になったときである.1900年代初頭において1型糖尿病は“死に至る病”であり,診断がなされれば,日々衰弱が進行し死を迎えるというのが通常の経過であった.1922年にインスリンが発見され,翌1923年にはヒトへの臨床応用がなされた.これによって患者は高血糖やケトアシドーシスから回復したことが伝えられている.ベッドに寝たきりで,身の回りのことすらできず,死を待つばかりの少年が生還したのである(Box 1)1).
この時の主治医の感想が残されている.「インスリン注射によって,血糖値が正常化したことはもちろん驚きであったが,少年が他の子供と同じような日常生活を送れるようになったこと,生きることへの希望が持てるようになったことが,なによりも感動的であった」と.
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