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透析患者の血糖の特徴を知りましょう
糖尿病を有する透析患者ではさまざまな合併症を有する.患者の病態に応じたケアが必要.
外来指導の実際
□糖尿病透析患者の現状を知る
糖尿病性腎症による末期腎不全患者は神経障害,網膜症,大血管合併症の有病率が高く,腎機能障害以外に視力障害,心機能障害,肢体機能障害を同時に有する場合が多くみられます.維持透析を受けている糖尿病患者の血糖の管理は透析医が行い,個々の合併症に応じて各科専門医の管理を受けるケースが多いのが現状ではないかと思われます.維持透析に入った糖尿病患者を対象とした血糖管理の有用性に関する報告は少なく,1)血糖コントロールの指標であるHbA1C値がエリスロポエチン投与下では赤血球寿命短縮により影響を受けること,2)透析患者ではさまざまな合併症や代謝異常が予後に関与するなどの理由から予後に対する血糖コントロールの効果の評価は困難であると考えられます.1)に関しては補正式やグリコアルブミンの活用が検討されております1).2)に関しては日本透析医学会によると,透析導入後1年生存率に関して,HbA1Cが7.0%以上の症例では有意に低下するとの報告2)があり透析導入後でも少なくとも,HbA1C7%以下を目標としたほうが望ましいと考えられます.
□血糖コントロールの方法
透析療法期でも食事療法と運動療法,薬物療法が中心となります.食事療法に関しては日本腎臓学会のガイドライン3)を参考にしてください.運動療法に関しては明確なガイドラインはありませんが,激しい運動は控えて散歩などの軽度の運動にとどめるべきです.薬物療法に関してはインスリン療法が中心となります.経口糖尿病薬は蓄積性が増すことで重篤な低血糖の恐れがあるため,種類によっては禁忌とされており,やむを得ない症例以外は投与を控えるべきです.
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