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運動療法の効果を数値でフィードバックする
糖尿病治療に運動療法は不可欠,実施した運動療法の効果を数値データでもってフィードバックしていくことが継続性につながる.
運動療法の考え方
外来指導の実際
糖尿病診療において,運動療法がなぜ重要であるかを,患者さんに対して的確に説明することが求められます.診療の多くは摂取カロリーに関する食事療法に重点が置かれる傾向がありますが,それと同等に重要であるのは,運動による消費カロリーに対する意識を高めてもらうこと,さらにBox 1に示す生活習慣病を惹起するインスリン抵抗性仮説のメカニズムを理解してもらうことです.運動不足や肥満が筋組織におけるインスリン感受性を低下させて,血中ブドウ糖の筋組織への取り込みを低下させ,結果的に高インスリン状態が惹起されることなどが明らかになっています.適切な四肢の筋活動を行わない身体活動量低下の恒常化は,インスリン抵抗性の増悪・発現を引き起こして,糖尿病患者さんの耐糖能低下などを一層助長することになります.つまり,食事療法と薬物療法のみでは,インスリン抵抗性の悪循環を改善することが根本的に不可能であることを,Box 1のようなインスリン抵抗性仮説をもとにして患者さんに示唆していくことが求められます.
患者満足度を高める
運動療法がインスリン抵抗性を改善して,耐糖能低下と高血圧,高トリグリセリド血症の抜本的な改善に結びつくこと,ひいては合併疾患としてのアテローム硬化症の予防に繋がることをまず患者さんにわかりやすい言語で説明しましょう.さらに,日々の生活の中で取り入れられた運動による消費カロリーが,どのくらいであるのか,具体的な数値データに換算してあげて患者さんに説明していきましょう.
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