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Case
2型糖尿病に伴った動脈硬化症
65歳女性,主訴:全身倦怠感.
病歴:1990年に検診で糖尿病を指摘されていたが放置していた.1995年に口渇,多尿が出現し,体重が10 kg減少した.1996年から近医を受診しHbA1Cが9.5%のためSU剤,aグルコシダーゼ阻害剤により血糖コントロールが試みられたがHbA1Cは8%台と外来での血糖コントロールは不良であった.2000年より全身倦怠感を自覚するようになり徐々に増悪するため精査加療目的に当院を紹介受診された.
身体所見:身長148 cm,体重51.7 kg(BMI 23.6),血圧144/62 mmHg,脈拍68/分,頸動脈雑音あり.心雑音(第3肋骨胸骨左縁を最強とするLevine Ⅲ度/Ⅵ度の収縮期および拡張期雑音)あり,腹部に血管性雑音あり,両足背動脈を触知するが,API(Tips 1)は右1.03左0.83と低下.
検査所見:空腹時血糖212 mg/dL,総コレステロール 242 mg/dL,中性脂肪 132 mg/dL,HDLコレステロール 40 mg/dL,BUN 15 mg/dL,血清クレアチニン 0.6 mg/dL,HbA1C 8.1%(Tips 2).
安静時心電図:正常範囲内
胸部X線:心胸郭比59%,肺血管陰影増強,左葉間胸水を認める.
動脈血液ガス:pH 7.432,PO2 67.4 mmHg,PCO2 42.2 mmHg,HCO3-,27.6 mEq/L,酸素飽和度 93%
心エコー:下後壁運動低下,左心房収縮末期径 41 mm(22~38),ARII°,左心室拡張末期径/収縮末期径 55/35 mm(40~53/23~42),下大静脈径22 mm(9~13),心駆出率66%
以上のように左心不全を呈していたため入院のうえ,心不全の治療と血糖コントロールを行った.そして心不全の原因として心エコー検査より右冠動脈潅流域の虚血性心疾患を疑い,さらなる検査を行った.
心筋シンチグラフィ:下壁心尖部に虚血を認める.
心臓カテーテル検査:左冠動脈#6 75%狭窄,#13 75%狭窄.
右冠動脈#2 100%閉塞(側副血行路あり).
3枝病変を伴う虚血性心疾患であるため予後を考慮し外科転科のうえ,冠動脈バイパスグラフト術CABG(Coronary Artery Bypass Grafting)が施行された.
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