Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Case
症状がないにもかかわらず高度の動脈硬化症のあった症例
59歳男性会社員.検診にて高血糖,高血圧,高脂血症,脂肪肝などを指摘され当科に紹介された.糖尿病,高血圧症は1987年(45歳)頃に指摘されたが放置していた.喫煙10本/日.身長171 cm,体重78 kg,血圧174/92 mmHg(座位),168/90 mmHg(臥位).頸動脈(右)に雑音を聴取.下腿に軽度の浮腫を認め,膝蓋腱反射は低下,アキレス腱反射は消失し,足外踝での振動覚は低下.両足背動脈を触知するが右がやや弱く,API(左右)は0.93,0.82と低下.眼底は細動脈硬化,高血圧性変化ともに軽度(S 1 H 1),糖尿病性変化なし.
検査所見:空腹時血糖228 mg/dL,HbA1C 9.4%,
コレステロール(総)291 mg/dL,(LDL)180 mg/dL,(HDL)47 mg/dL,TG 431 mg/dL,腎症2期.
安静時心電図:V 5,V 6にてT波平低化,ST(horizontal 1 mm)低下.負荷心電図(トレッドミル):陽性.
胸部X線:心胸郭比52%,大動脈石灰化(-).
頸動脈エコー:右内頸動脈に高度狭窄(90%以上)を認める.左頸動脈;分岐部に4.48 mmプラーク,総頸動脈平均IMT( 内膜中膜肥厚);1.52 mm〔平均IMT(正常1.1 mm以下)〕
脳MRI:多発性脳梗塞(視床,内包など)
脳MRA:右内頸動脈に高度狭窄
脳血管造影:右内頸動脈狭窄,左椎骨動脈壁不整.
脳血流シンチ:右中大脳動脈領域に低灌流域.心エコー:下後壁・心尖部運動低下,心駆出率低下.心筋シンチ:心尖・下後壁瘢痕,心尖・前壁虚血.心臓カテーテル検査:左冠動脈#8;90%,#11;99%狭窄,右冠動脈#3;75%狭窄
以上のように冠動脈硬化症,頸動脈硬化症が高度に認められたため,左冠動脈狭窄に対してPTCA(percutaneous transluminal coronary angioplasty),右内頸動脈狭窄に対して内頸動脈ステント留置がなされた.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.