Japanese
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Case Record●症例報告
細小血管障害より虚血性心疾患の進行が目立った高齢者2型糖尿病の1例
A case of elderly type 2 diabetes developed ischemic heart disease earlier than microvascular disease
原田 真耶
1
,
佐藤 麻子
1
,
内潟 安子
1
,
岩本 安彦
1
1東京女子医科大学糖尿病センター
キーワード:
①2型糖尿病
,
②虚血性心疾患
,
③冠危険因子
Keyword:
①2型糖尿病
,
②虚血性心疾患
,
③冠危険因子
pp.287-291
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100951
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細小血管障害より虚血性心疾患の進行が目立った高齢者2型糖尿病患者を経験した.症例は71歳,男性.2000年発見の糖尿病で,血糖コントロールはHbA1C 6~7%以下で比較的良好であり,細小血管障害は認めなかった.糖尿病以外に喫煙,低HDL血症,高中性脂肪血症,肥満,高血圧と冠動脈の危険因子を多く合併していた.2004年に左回旋枝領域の心筋梗塞を発症し,経皮的冠動脈形成術を行い,薬物治療を強化し生活指導した.3年後に前回狭窄を認めなかった左前下行枝領域に再度心筋梗塞を発症した.経皮的冠動脈形成術を行い,薬物治療の調整,生活習慣の改善を再指導した.その後冠危険因子は糖尿病と肥満以外は正常域にコントロールされていた.血糖コントロールが比較的安定し,糖尿病合併症も認めない軽症糖尿病患者において,他の危険因子がコントロールされていても,虚血性心疾患の再発を認めた.
Caseの教訓:血糖コントロールが良い時期でも大血管障害の発症に注意し,冠危険因子が存在する場合は,それぞれの治療ガイドラインに沿った薬物を中心とした内科的治療と生活習慣の改善を行う.
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