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特集 インスリン治療のエキスパートになる
10のコツ
インスリン治療の工夫
シックデイルールとケトアシドーシス
Sick-day rule and ketoacidosis
加藤 光敏
1
1加藤内科クリニック
キーワード:
シックデイ
,
シックデイルール
,
ケトアシドーシス
Keyword:
シックデイ
,
シックデイルール
,
ケトアシドーシス
pp.373-377
発行日 2006年3月15日
Published Date 2006/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100102
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Case インフルエンザ感染を基にしたシックデイの症例
患者:44歳,男性.3年前他院にて糖尿病を指摘され食事運動療法にて改善したあとは検査を受けていなかった.久々の検査希望で当院来院.HbA1Cは5.7%で,検査結果は境界型糖尿病であった.その後,発熱などの感冒様症状で近医を受診.FPG 363 mg/dL,HbA1C 7.5%.5日後当院を紹介受診したが,嘔気・嘔吐を認め,来院時のFPGは560 mg/dLで尿中のケトン体強陽性,ケトアシドーシスの状態であった.高血糖・脱水状態に対して生理的食塩水1,000 mL点滴および0.2 U/kgのインスリン静脈内投与を行った.
処置にて血糖や諸症状は改善傾向を示し,その場でインスリン自己注射,血糖自己測定(SMBG)を指導.医師の携帯電話番号を教え帰宅とした.なおこのときの血液検査にて,血中ケトン体上昇1)も認め,HbA1Cは8.2%に上昇していた.
インスリンは最高量としてはR8-R8-R8-N6~8Uまで増量したが,血糖は明らかに低下傾向を示しインスリン漸減,後日中止した.
本症例における診断:検査結果は抗GAD抗体陰性で,血清amylaseの軽度上昇は認めたが,空腹時インスリン16.0 μU/mL,尿中CPR 161 μg/日とインスリン分泌能低下は認められず,インフルエンザA/パナマ抗体×160などのデータを得た.インフルエンザ感染を基にしたシックデイの症例であった.
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