緩和ケア医のひとり言・4
モルヒネが効かなきゃあきらめる?―鎮痛補助薬の適応と使い方
藤井 勇一
1
1埼玉県立がんセンター・緩和ケア病棟
pp.666-670
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902391
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モルヒネなどの鎮痛薬を適切に投与していても,疼痛が取れず持続することがある.特に,肺がんに伴うパンコースト腫瘍での上肢の電撃痛や子宮がんや直腸がんの骨盤神経叢浸潤による会陰部・肛門部痛,骨転移に伴う体動時痛などはモルヒネが効きにくく,緩和が難しい.
こういったモルヒネの効きにくい痛みに対してモルヒネの投与量をどんどん増加していくと,眠気や混乱などの副作用が増強し,痛みを緩和して患者のQOLを向上させるどころか逆に低下させてしまうこともある.こんなとき,鎮痛補助薬を知っているかいないかが,鍵となる.鎮痛補助薬は単独では明らかな鎮痛効果を示さないが,モルヒネなど他の鎮痛薬と併用することで威力を発揮する.また,神経因性疼痛などの一部の特殊な疼痛に対しては,単独でも著明な効果を示すことがある.その効果を一度でも実感したら,きっと手放せなくなるだろう.
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