Update '98
プライマリ・ケアにおけるsomatiserについて
高石 穣
1
1高石クリニック
pp.846
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903706
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精神疾患を有しながら身体的愁訴が前景に立ち,身体面に原因を求める症例をsomatiserと呼ぶ.スペインの一般外来診療所で行われた調査では,somatiserは全初診患者の9.4%を占めていた.うち,3分の2の患者が6ヵ月以上の慢性例で,訴えの内容としては,背部痛,めまい,四肢の痛み,息苦しさ,動悸など(自律神経系の症状)が多かった.構造化面接を行うと,7割の患者がうつ病か不安障害の診断基準を満たしていたという.
わが国でも,このような患者は一般診療所で日常的に見受けられるし,彼らの大半はまず一般診療所を受診すると思われる.この際,治療者にとって器質的疾患の評価診断が最重要であることは論をまたないが,一方では病状の長期化や治療者の対応の拙さ(過剰検査,説明不足)が患者のQOLを損ねてしまう恐れがあることについても配慮すべきである.そのためには,自律神経系の症状や精神症状について能動的な問診が求められる.
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