JIM臨床画像コレクション
癌細胞の骨髄転移
貞森 直樹
1
1県立長崎シーボルト大学看護学科
pp.892
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903630
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表紙の写真は,胸骨骨髄液の塗抹標本をMayGrunwald-Giemsa染色し強拡(1,000倍)で撮影したものである.通常骨髄中にみられる造血細胞とは異なる異常細胞の集簇(cluster)を認める.上の写真における集塊を構成する細胞は,原形質が青く核小体を有しており,細胞と細胞との境界が不鮮明である.また,下の写真の細胞は,大型で核が偏在し胞体が広く,PAS染色陽性で印環細胞としての特徴を有している.
本症例は60歳女性で,心窩部痛・全身倦怠感・体重減少・腰痛・鼻出血などを主訴として外来を受診.理学的には,貧血と軽度の鼻出血を認めた.検査では,強度の貧血,LDH高値,ALP異常高値(ALP3 83%),腰椎X線写真で第2腰椎および第3腰椎の圧迫骨折像を認め,MRIでは同部の骨破壊と浸潤像を認めた.骨髄標本より骨髄癌腫症を強く疑い,胃内視鏡による生検の結果,印環細胞を混在した腺癌と診断された.また,骨髄液のクロットによる病理所見も,印環細胞を主体とする腺癌の骨髄転移と考えられた.
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