"なぜ診断できないか"を科学する・5
なぜ私が"骨シンチ"をやれと言うのか
江村 正
1,2
1佐賀医科大学総合診療部
2現:ミシガン州立大学課程医学科
pp.451
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903534
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不明熱などで,担当医が診断の手がかりがつかめずに困っている場合に,筆者が勧める検査に骨シンチがある.
なぜ,私が骨シンチをやれと言うのか.前号で,整形外科領域の感染症を鑑別にあげられる医師が少なく,腸腰筋膿瘍や化膿性脊椎炎の診断が遅れることがあると述べた.日本の多くの病院では"感染症科"がないため,通常,発熱患者は臓器・系統別内科で研修した内科医が診る.したがって,腎孟腎炎・肺炎・胆嚢炎などを疑うことはできるが,筋・骨格系の感染症は内科の臓器・系統ではどこにも分類されていないため,そのような疾患を鑑別にあげることができないのである.骨シンチは,整形外科領域の感染症を見つけるにはsensitivityの高い検査と思われる.もちろん,症状に局在があり,長時間耐えられればMRIのほうがよい.造影CTは,膿瘍が進行していないと見落とされる可能性がある.すなわち,病初期ではsensitivityが低いので,特に脊椎周囲の膿瘍を疑う場合には筆者は勧めていない.
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